司法心理研究所・司法ソーシャルワーク研究所合同研究集会の開催

裁判員裁判は、2009年5月21日に開始し、すでに10年を過ぎました。私たち対人援助を専門とする研究者、実務家有志は、主に少年被告人の裁判員裁判に私たちの有する知見を活用した情報を提供する活動を始めました。具体的には、被告人弁護人の依頼による「情状鑑定(心理社会鑑定)」、裁判所の命令に基づく「情状鑑定」、その結果についての法廷証言などです。

私たちは、その結果を意見交換する場として、2009年9月23日の第1回目を皮切りにクローズドの勉強会をすでに15回開催し、経験交流を重ねてきました。そこから私たちが確信したことは、刑事事件の裁判所の審理には、被告人について、事件までにどのような人生を送って来たのか、どのような環境下にあったのか、彼の特性はどういうものか、などが明らかにされる必要があるということです。そのような情報が法廷で明らかにされないまま刑務所に入ることになると、結局そこから社会に戻るときにうまく行かないで、失敗を繰り返すことになるのです。再犯と収監の繰り返しは、本人にとっても社会にとっても不幸です。

私たちメンバーの一人、花園大学の橋本和明(臨床心理士)は、2017年7月4日、大阪弁護士会の弁護士数名と「一般社団法人司法心理研究所」を設立しました。現在、登録の臨床心理士らと鋭意、刑事裁判、民事裁判、少年審判、家事審判について、裁判所、弁護士等への情報提供の活動を行っています。

また、メンバーの一人、鈴鹿医療科学大学の藤原正範(社会福祉士)は、2019年秋に「一般社団法人司法ソーシャルワーク研究所」を設立する準備を進めています。この会は、少年、障害のある人などの刑事裁判について、弁護人への情報提供を主たる業務とする予定です。

私たちが実践し、また実践しようとしている団体が、なぜ必要なのか、どういう理念と目的に基づいているのか、具体的な活動内容はどのようなものか。このようなことを皆様にぜひ知っていただきたいのです。

私たちは、「一般社団法人司法心理研究所」・「一般社団法人司法ソーシャルワーク研究所」第1回目の合同研究集会を、下記の通り開催いたします。刑事事件の審理をより充実したものとし、被告人が社会の中で真に立ち直っていくことができるような方法を法律家、対人援助専門職がいっしょに考えていきたいものです。


東京集会

日時2019年12月15日(日)午後1時30分~4時30分
会場立正大学品川校舎5号館511教室
(〒141-8602 東京都品川区大崎4-2-16)

大阪集会

日時2019年12月22日(日)午後1時30分~4時30分
会場追手門学院大学茨木総持寺キャンパスA211教室
( 〒567-0013 大阪府茨木市太田東芝町1番1号)